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ひろ 脳腫瘍 [犬猫:覚書]

2015年2月18日に天国に行ってしまったひろの最後の日々を、
憶えている間に書き留めておきます。

[予兆だったのか?]
2014年夏のある日、私の机の下で昼寝していたひろ、夕方の散歩前にトイレに出したら、庭でふらついた。あれ?と思いながら散歩に出かけたら、左に傾く。脚が痛い? 寝過ぎで痺れた? 
一番近いK動物病院に連れて行きました。X線と触診、問診。脚の神経かもってことで低周波治療器みたいなのでマッサージ。原因不明なまま、 翌日にはもとどおりになりました。


[前庭障害]
9月中旬、 家の中でふらついた。あれ? と思ったら嘔吐。目を見たら眼振している。前庭障害だな、と思ってN動物病院へ。やっぱりK病院は好きになれない。やはり前庭障害との診断で、吐き止めを飲ませ、数日で快癒。先日のあれも、前庭障害だったんだろうか。この前庭障害が脳腫瘍と関係あったのかどうかはわかりません。


[アジリティ]
10月12日には、平塚でアジリティ競技会に出走。視力と聴力の衰えが著しいので、本人は元気だけれど競技会はこれで引退しようと決めていました。その日も、途中で私を見失いながらも、いい走りを見せてくれました。


[下痢・嘔吐から]
11月の下旬に下痢・嘔吐。
もともと消化器系には持病があるので、消化酵素は欠かせないし、下痢することも多い子ですが、
このときは嘔吐物が「便」そのものだったので、腸閉塞かもしれない(昔やったことがあるので)と思って、いつものN動物病院を受診しました。
エコーと血液検査の結果は、何か詰まってることもないし、大きな異常もないようでした。
秋頃からとても痩せてきたし、胃腸の働きが弱ってしまっているのかも、ということで、とりあえず抗生剤を7日分もらい、食事に混ぜる消化酵素を増量して様子を見ることに。

それ以降、下痢は治まったのですが、目を離すと家の中で排便してしまうことが多くなりました。なので、洗濯物を干す間にも2階のベランダまで連れて行ったり。

うちの犬たちは猫砂を食べてしまうので、以前は1階に置いた猫トイレの周りを柵で囲んでいたのですが、
まりちゃんが来てから、猫トイレを2階に置いて、犬たちは2階に上がらないようにゲートを付けていました。

なので、ひろは、半年以上ぶりに2階に上り下りするようになったわけですが、段差の距離や高さが測れないのか、足を踏み外す。上るときは顎を打ち、下るときには転がる。途中の踊り場から下に降りるときに超慎重に脚を出す。あれ? あんまり久しぶりで階段の上り下り忘れちゃった? 目が見えにくくなったからなぁ。なんて暢気に考えていました。

相変わらずすごい食欲でしたが、お腹の調子はあまりよくなく、一度に消化できる量が少なくなってきたようだったので、12月下旬ごろから食事を3回に分けることにしました。それからは、お腹の調子は本当に良くなりました。死ぬまで一度もゆるくなったりしなかった。


[行動がおかしい?]
そのころから、昼間に、それはもう「激寝」するようになっていました。クンもひろも。耳が聞こえないから刺激がないんだなぁ、起きないねぇ。なんて思ってました。
それでも、散歩には毎日出かけて、ボールもディスクも元気に楽しんでいたので、お腹だけが心配でした。

12月の中旬に、アジリティの練習に行った夫が 「ひろ、衰えたな。Aフレームに登るのが下手になった」と。私はその現場を見ていなかったので「ふーん・・」と思っただけでした。

年末休みの少し前、夕方の散歩に行ったときに、ディスクをしました。いつもの力強い走りで楽しそうにディスクを取ってくるひろでしたが、3,4回ぐらい遊んだ後に急に止まってぼーっとした感じに。あれ、もう疲れたの? 年取ったねー、なんて思っただけでした。クンは物足りなさそうにキャンキャン吠えていましたが、「ひろ疲れたんだって。今日はこれでおしまいね」と言って帰りました。もう、ひろと二度とディスクできないなんて夢にも思わず。

年末休みに入ったころ、激寝中のひろを起こして昼食を食べさせたら、ガタガタ震えながら食べています。とても寒い日々で、キッチンの勝手口のガラスのすぐ前だったから寒いのかも知れないけど、こんなことは初めてです。痩せてきて寒すぎるのかもと思って、フリースで服を作ってみました。

年末近くなったころ、それまで昼間は私の机の下のマットで寝てばかりいたのに、家の中を落ち着き無く動き回って止まらなくなりました。もともと落ち着きのない性格だとはいえ、あまりにも度を超している、とは思っていました。

年末にアジリティの練習に行きました。
確かにAフレームに上るときに距離が測れないというのはありましたし、だいぶ走りも遅くなったけど、視力聴力の衰えはハンドリングでカバーすれば1度のコースなら楽しくできるし、ハンドリングの工夫も楽しんで行こうとか、まだ暢気に考えていました。

元日にも練習。最初に車のケージから出したとき、ぼぉーっとしていて、走っているというより歩いているという感じだったので、あれ? と思ったのですが、2回目には速さも戻り、いつもの暴れん坊のひろになっていました。寒いし天気悪いし、調子が出るのに時間がかかるようになったのかなぁ、と。


[異変]
1月2日の朝、家の中でクン、ひろと軽くボール遊び。いつものボール大好きな激しいひろ。でも、これが最後のボール遊びになりました。

アルミホイルと芋を持ってクラブワンのフィールドに行って、みんなで落ち葉を集めて、たき火で焼き芋。ほんとうに楽しい新年の午前でした。

その日の練習で、ひろはドッグウォークの途中で距離がわからなくなったのか飛び降り。うーん、もう登りモノはやらせない方がいいのかも、と。そして、突然スラロームができなくなってしまいました。1本ずつ縫うことができないようで、おぼえはじめの若犬みたいにポールの列に沿って走ったり数本おきに縫ってみたり。「やり方がわからなくなったんだ!」これはショックでした。 で、顔をのぞき込んでみたら目がおかしい。 それからは休憩。

お昼過ぎまでフィールドにいて、帰りにコンビニに寄って車内で昼食。家についたら、ひろが立てなくなっていました。

正月は3日まではN動物病院は休みです。以前、胆嚢嚢腫の手術後、夜中に嘔吐したときにかかった救急病院に連絡して連れて行くことに。着替えてリビングに戻ると、ひろが部屋の角に頭をつけて止まっている! これは大変な事態だと覚悟しました。ぐたっとしたひろを抱いて車で30分ほど。血液検査は異常なし、脳に原因があるかも知れないということで、脳圧を下げる点滴をしました。点滴が終わるのを待つ間、日が暮れていく国道を行く車の列を待合室から眺めていました。

点滴で脳圧を下げたら歩けるようになって一安心。でも、脳に何かが起こっている可能性が高いから、できればMRI検査をお勧めしますということでした。N病院には、処置の内容をFAXで連絡してもらえることになっています。診察は4日からなので、それまでは重篤な状態にはならないよう、プレドニゾロン(ステロイド)の内服薬を4日分もらって帰りました。

翌日3日は家でゆっくり。4日の日曜日にN動物病院へ行って事情を説明しました。その日は、ずっと何年もひろを見てくれていた院長先生は不在で、ひろには初めてあたる先生でした。徐々に状態が良くなっていて、その日のひろは、見た目はそれほど深刻な状態には思えない感じだったからか、いろいろ考えられるけれど、快復するかも知れないから数日様子をみましょう、ということに。プレドニンはあと2日分。このとき、診察室内で、ひろが居眠りを始めました。病院ではいつも大人しい子でしたが、おどおどしているのに居眠りなんて考えられない、おかしい、と思ったし先生にもそう言ったけど、そこはなんとなく重要ポイントとは考えられなかったようです。先生とひろが初対面だったのが良くなかったんだなと思う。

ほんとうに、その日は起きているときは元通りのひろみたいでした。午後、クラブワンに行って、無理ない程度に軽くアジリティの練習。スラロームも間違えないでできたし、良かったなぁ、て思ってました。

5日は月曜日。プレドニンは、この日の朝で終わり。効果は24時間。夕方の散歩には出かけました。ボールやディスクはまだやめておこうと思って歩き散歩。12月中旬からこのころまで、ひろは散歩中に吠えてばかりいるようになっていました。当時は理由がわかりませんでしたが、脳が興奮しやすくなっていたのだと思います。

6日の火曜日は雨だったと思う。朝起きたら、ひろが壁と家具の間に頭を突っ込んで寝ていました。起きているときは、相変わらず異常なくらい落ち着き無く家の中で動き回る。ぐるぐる回っているかと思うと、電池が切れたように寝てしまう。寝ているときに、手足をブルブル震わせている。やっぱりおかしい。この日の午後ぐらいから元気がないときと動き回るときの差が大きくなってきました。プレドニンの効果がなくなったせいじゃないか、2日のぐったりした様子を思い出すと様子を見ていていいとは思えない。翌日診察に行こうと決めました。

7日の水曜日。朝起きたら玄関の傘立てとドアの間に頭を突っ込んで寝ていました。やっぱりただ事じゃない。朝ご飯を食べるとき、食べ方がものすごく下手になっていて、こぼしながら長い時間かかって食べている。庭に出したら前転してしまう。やっぱりおかしい。病院まで10分ぐらい、歩いて行きました。今度は院長先生も出てきました。家での様子を伝え、話をよく聞いて貰いました。大脳に何かが起こっていると思われるとのこと。脳梗塞なのか脳腫瘍なのか他の何かなのか、を確かめるためにMRI検査をした方がいいということになりました。2日に救急で行った病院はN病院と連携している病院で脳神経科があり、MRIの設備も整っています。10日の土曜日にMRIを予約してもらいました。プレドニンがもうなくなっているから心配だったんですが、薬の影響をなくして診断した方がいいから、土曜まで薬はなしにしましょうということになりました。

その日家に帰ってから、ひろはリビングを歩き回っていましたが、何度も玄関に落ちたり、部屋の角に頭を突っ込んで止まったりするようになりました。危ないので、段ボールの箱やバリケンや柵や、いろいろなモノを使って丸い場所をつくり、見ていられないときはそこに入らせるようにしました。ほんとうにちょっとした角でも鼻先を突っ込んで止まってしまう。回る方向は、半時計まわり。

木曜と金曜のことはあまり憶えていないけど、その頃は、まだ排泄は庭に出したときや散歩に行ったときにしていました。夜だけオムツをあてていたけど、トイレシーツで床を拭いてばかりいたような気もします。
まだ、コミュニケーションも取れていて、ひろに正気も残っていた気がします。

9日の夕方、ひろが死にそうになりました。なぜ憶えていないのかわからないけど、細かいことや時系列に沿った状態変化はぜんぜん思い出せません。野獣のような声を上げてもがいているひろを必死で抱き留め続けていたこと、息づかいが荒かったこと、だけは断片的に憶えているのだけど。家族に連絡したら、2人とも帰宅中。急いで! と念じていたら、夫が帰ってきたのが7時5分前。もう死ぬ、病院行かないと。 明日行く病院は通常の診察時間は終わっていて、夜間救急は9時から。N病院は夜7時までです。まだ間に合う!と電話して車で向かいました。助手席で、ひろを抱いていましたが、さっきまでもがいて叫んでいたのに、ぐったりして動かない。呼吸もしてないみたい、死んだかも・・  病院について診察室に駆け込んだとき、「車の中で死んだかも」と口走ってしまいました。診察台でぐったりしてるひろ、看護師さんが心臓の鼓動を確認してくれました。生きてました。もう、ほっとしたなんてもんじゃないです。危ない状態だったので、脳圧を下げる点滴をしました。2日のときより、もっともっと心配でした。あとちょっと遅かったら死んでた。

[診断・治療開始]
10日は土曜日です。午前中に総合病院へ。MRIの予約は午前11頃でした。昨夜、点滴を受けて生き返ったひろですが、意識障害がひどくて、あんまり周りのことが分かっていない感じ。 2日は救急外来だったので、脳神経科は初診になるようでした。いろいろ検査やら診察やら問診やら。MRIの説明も受け、一旦預けて3時間後ぐらいに戻ることになりました。ひろは、ケージの中でぐるぐる回っていました。

夫と、これから必要になりそうなものを買いに行きました。

ぐるぐる回っても頭をぶつけないように、いろいろなもので丸いスペースを仮に作っていたのですが、柔らかい板状の材料をホームセンターで探しました。青い発泡樹脂製の大きな板。これでプール状に囲おう。この日から、青いプールがひろの生活スペースになりました。
犬用のオムツのコーナーで、おしっこパッドをとめるマナーベルトを買いました。ピンク色の中型犬サイズ。これを着た姿を毎日毎日見ることになりました。


ファミレスで昼食しながら時間を潰しました。不安を口にすると本当になりそうで、ぜんぜん違うことをしゃべっていたような気がしますが、思い出せません。窓の外の景色は思い出せるんだけど。

総合病院に戻って、MRIの画像を見ながら診断結果を聞きました。白い影が大きく広がっているのが見えました。
これまでの症状から考えても、脳腫瘍だと思われる、とのことでした。
髄膜腫か血管肉腫のどちらかだろう、とのこと。

かなり以前からあった腫瘍がゆっくりと大きくなってきて、12月頃に腫瘍内で血管が切れて症状が一気に進んだのだろう、ということでした。

ああ、そうだったのか。1年ぐらい前から左側があまり見えてなかったのは知っていたのに、もともと角膜潰瘍で目はボコボコだったし、もう13歳だし、って思ってた。元気だったし。神経が腫瘍に圧迫されてるなんて、思いもよらなかった。片側だけ見えないなんて変だと思える知識はありませんでした。


治療の選択肢は3つ。
1.手術。脳の、手を出せない部分にまで腫瘍が広がっているから全部は取り切れない。手術した場合は、術後1ヶ月は何もできないので、ほかの治療(放射線・抗がん剤)の開始が遅れて、その間に手遅れになる可能性もある。
2.放射線治療。腫瘍に放射線を集中的に浴びせてやっつける。設備のある大学病院(都内に数カ所)で1ヶ月に合計20回通う必要がある。通院が難しい場合は犬を預ける形になって飼い主と離れて暮らすことになって飼い主にも犬にも心理的肉体的経済的な負担が大きくなる。数ヶ月の延命が期待できる。
3.抗がん剤。脳にまで達する抗がん剤は少なく、また、血管肉腫に効く抗がん剤はあるが、髄膜腫に効くものはない。副作用がある。どちらの腫瘍かは手術で組織を採らないと生検できないから、賭けになる。効けば1年ぐらい延命できるかもしれない。

4.どの治療法も選択せず、プレドニンで血管の腫れを抑えて暮らしていく。余命は2ヶ月程度。

どうするかはご家族でよく相談して決めてください。と言われました。

「これからは、プレドニンがひろちゃんのお友達です」
「興奮させると腫瘍内の血管が切れるので、首輪はやめて胴輪にして、ゆっくりの散歩にしてください。」

それから、ひろを待合室に連れてきてもらい、会計に呼ばれるまでの間に、窓の外がどんどん暮れていきました。ここの病院には一般外来はありません。みんな深刻な病気を抱えた動物ばっかりなんです。遠い他県から来ている人も多くて、清潔で明るい待合室なのに、とても重苦しい雰囲気です。ひろを膝に乗せて、ずーーーーっと黙ってうつむいて、涙が止まりませんでした。

この後のことは、何回も病院に行ったので記憶がごっちゃになっているかも知れません。

以上の話を総合病院の先生が文書にまとめてメールしてくださるまで数日待ちました。同じ文書はN先生にも送られます。

10日からしばらくは、まだ散歩したりできていました。ゆっくり歩く散歩。歩きながら吠える。12月ごろから散歩中に良く吠えるようになっていたのは、神経症状のひとつだったんだ。


1月14日ごろ、治療方法の相談にN病院に行きました。ここでも、どうするかはご家族でよく相談してください、との話。すでに、手術と放射線はやらないと決めていたので、抗がん剤を使うか使わないかの選択になりました。

N病院で使っている脳腫瘍の抗がん剤はロムスチン。ただし、髄膜腫には効果が無い。毎週血液検査をしながら、3週間に1回の服用。2か月ぐらいで効果をみるためにMRI。副作用は、犬の場合は人間ほど強くは出ないことが多いが、白血球が減って免疫が下がることが多いので感染症に注意が必要。ネット上にも検索すると情報がありますから、ご家族でよく考えて、と。

2日考えて、ロムスチンを使うことに決めました。血管肉腫であることに賭けて。

[抗がん剤1回目]
1月19日。この日は、ひろは病院まで10分の道のりを往復とも歩くことができました。道の端に沿って足早に歩いていました。これまでは、そんなに端っこを歩く子じゃなかった。血液検査では軽い貧血はあるが大丈夫そう。先生がc/d缶フードに包んだロムスチンを飲ませました。 効いてくれ!

副作用が心配なので、毎日体温を測って、急激に上がるようなら連絡する。
抗がん剤は便にも出るので、素手で触らないように。

このころは、庭に出せば排泄したりできてましたが、漏らしたりもするので、昼間は尿取りパッド、夜間は紙おむつ。
見ていられないときは丸いスペースに入れていましたが、玄関に落ちたり部屋の角に頭を着けて止まったりがあまりに多くなってきたので、丸いスペースに入れっぱなしになりました。少し前までは寝るときにお気に入りのマットに丸くなっていたのだけど、だんだんそれもわからなくなってきているようでした。


副作用が出ることはありませんでしたし、劇的に症状が悪化することもなかったけれど、毎日少しずつ症状が進んでいるのはわかりました。

毎週血液検査に通い、白血球が増えてないか確認。体重がどんどん減っていきました。ベストの体重は10kg弱なのに、6kg台前半。測る毎に減って、2月上旬には5kg台になってしまいました。小型犬並みです。あんなに食べているのに。腫瘍が成長するから栄養をどんどん盗られるんだそうです。だから、秋頃から痩せてきてたんだね。消化器系のせいじゃなかったんだ。

食事は3回。朝にプレドニン1.5錠を一緒に飲ませる。食べるのが下手になったので、ふやかして顔の前に器を持っていくとこぼさず食べられる。水の器を置きっ放しにすると蹴飛ばしてしまうので、食事のときになるべく水分をとらせたいし。

起きているときはずっと回り続けている。たまに時計回りにもなるけど、ほとんど左回り。これは左側の認知ができなくなっていることに関係があるのだと神経科の先生がいってました。以前から、自分の左にひろを付けて歩かせるとガンガン前に進んでいくのに、右に付けると、まとわりつくような脚側歩行ができました。左目がわるいから、右目で私を見ようとしてるっていうのは知ってたんだけど。まだ散歩ができていた1月中旬には、普通に歩くにもすぐに振り返って右目で私を視界に入れようとしているのは分かりました。

昼夜の境はなくなっていて、夜の間も歩き回っていました。それも、かなりな早足です。オムツの尻尾穴からウンチが漏れ、その上を何百回も歩き続ける。真夜中に異臭で目が覚めると、半分乾いたウンチが丸いスペースの中いっぱいにこびりつき、ひろの爪の間にもいっぱい入っていて、2人で半分寝ぼけながら1時間以上かかって片付け、やっと寝て起きたら、翌朝もまた同じ事になっていたり。

犬用のオムツはしっぽ穴が開いていますが、尻尾の付け根と肛門の距離は、ほんのわずかですから、漏れるのは当然。昼間なら、すぐに気付いて片付けられるけど。
きつめに留める、とか、 なるべく上に引っ張り上げて穴の下が尻尾にぴったり付くようにする、とかやってみましたが、歩き回るうちにずれてダメ。では、穴を極限まで小さくしようということに。尻尾は毛が生えているけど、尻尾自体は直径1cmぐらいなもんです。なので、尻尾穴を毎回ガムテープで縮小して、さらに、洋服を着せて、オムツを背中の方に引っ張って、洋服に安全ピンで留めるようにしました。
これで夜中のウンチ漏れはなくなったのですが。

一日に何回も排泄をする。昼間はマメに変えてやれるけれど、夜中は何時間もお尻についている。 痩せて尾てい骨がゴツゴツしてきて、そこがオムツかぶれのようになってきました。古Tシャツの切ったのをお湯で絞って拭いてやるんだけど、痛いようで嫌がりました。もう、意識障害がすすんで周りのことはあまり分からないみたいなのに、このときだけは声を出して逃げようとするんです。可哀想だけど拭かないといけないしね。辛かったねぇ。 先生に話して抗生剤の軟膏をもらいました。

2月になると、痩せすぎて、昼間に使っていた尿パッド+マナーベルトが、どんどんゆるゆるになって、洋服に留めている安全ピンの位置が、首の方に近づいて行きました。痩せても尿の量は減らないので、横から漏れてしまうことも多くなってきました。それでも、排泄は「垂れ流し」ではなく、自分の意思で立ってやっているのは、見ていて分かりました。
たまにはオムツを外して外の空気とお日様を味わわせてやろう、と庭に出すと、砂利でよろけながら植え込みに突っ込みそうになる。ぐるぐる回りながらも、「庭に出ている」ということは、わかるみたいでした。

もう、リードを着けて歩くのは無理なので、通院は、だっこ袋に入れて行きました。だっこ袋に入るようなサイズじゃなかったのに。歩いていると、「あらぁ、赤ちゃんかと思ったらワンちゃん!」などと声をかけられたり。
神経の症状は、急激には悪化していないけれど、良くはなっていなくて、少しずつ少しずつ進行しているのがわかりました。副作用は出ていないようでしたが、やっぱり、抗がん剤は効かないのだろうか? 

体重が減っていることは先生も心配していました。体重に対して上限の量(1.5錠)が処方されていたプレドニンは、2月の2週目から1錠になりました。


[抗がん剤2回目]
2月16日、血液検査の結果はそれほど悪くはなかったので、2回目の抗がん剤。この日は、ほぼ眠っているような感じのひろを、起こしながら服用させるような感じになりました。

往復ともだっこ袋です。入れると大人しくしているのは、だっこ好きだったひろが安心しているからなのか、それとも、もう意識がどっかに行っているからなのか。

2月17日、やっぱりぐるぐる歩き続けている。ほとんど走っているようなときもある。少し前から、起き上がろうとして脚をバタバタしてもなかなか立てないことが何度かありました。もう、庭に出すのはやめていました。ご飯を食べている途中で動くスイッチが入ってしまうのか、止まっていられなくなることもある。食べ終わると急に眠ってしまったり。


[がんばったね]
2月18日。 夜中に様子を見に行くと、オムツの中に排便してました。きれいにして、寝て、朝起きたら、またしてました。いつも夜中に2回して、長時間たくさんのウンチを張り付けていたんだね。そりゃかぶれるよね。かわいそうに。

7時に朝食を食べさせました。このころには、食べている途中で眠ってしまうこともあったので、確実にプレドニンを飲ませるために、最初にふやかしたフード1粒にプレドニンを埋めて、手で口に入れてごっくんさせてから残りを食べさせていました。口を開けさせて指を入れたら、ばくっと来て指に歯があたりました。いままでなら、オヤツをあげるときに間違って指に歯が当たったら、あわてて力を抜いていたのに、このときは、そのまま噛みしめてきました。もう指と食べ物の区別がつかなくなってる・・・・指に穴があいて血がにじみました。

ご飯は完食して、水も飲みました。

10時前に、立ち上がろうとしてバタバタしているので、立たせたら嘔吐。辛そうで、声も出た。
立とうとしたのはオシッコがしたかったからのようで、その後、ちゃんと自分の意思で排尿していました。
「おしっこしたかったのね」、とパッドを取り替えた後、立っていられないようで横になりました。
嘔吐は11月以来初めてなので、嫌な予感がしました。

その日は、朝から冷たい雨が降り続いていました。
立てないけれど、意思とは関係なく脚は動いているから、横になったまま丸い壁に沿って少しずつ移動したり、寝ていたりを繰り返しているひろを、ただ見ているだけの時間が過ぎていきました。

昼食の時間が来たけれど、朝に嘔吐したので、起こして食べさせるかどうか迷ってやめました。

夕方になって、呼吸が荒くなってきました。もう、だめな気がする。家族にメールしました。

暗くなってきて、雨降りで、もうすぐひろが死ぬ。
そうやって何時間もひろを見ていたら、突然、どうしてもチョコレートが食べたくてしょうがなくなりました。
買いに行っている間に死んでしまうかもしれないけど、買いに行く、と決意しました。どういう心理だったんだろう。 コートを着てマフラーを巻いて、ひろを見たら、右を上にして横になっていたひろの、前足がピクピクっと動いて、止まりました。体を触って「ひろ? ひろ?」と名前を呼びました。5時すこし前でした。自分が起きているときに看取ることができて良かった。 1月9日みたいに苦しんだりしなくて良かった。

家族にメールをして、マフラーを巻き直して、手袋をして、傘をさして、チョコレートと花を買いに行きました。暗くて良かった。雨で良かった。

花を供えて、タオルに寝かせて姿勢を整えて、体を拭いてやりました。がんばったね。








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